(6)〜(12) マンガと基本文献で学ぶ社会学
一回ずつに分けて掲載してきた、「マンガと基本文献で学ぶ社会学」をテーマとしたブックレビュー。
面倒くさくなった(笑)のと、学生向けブックガイドのニーズがあるのとで、一挙にまとめて掲載。
<第6回>つまらない「世の中」を楽しく生きられるか(その2)
〜人は、まったり生きられない? やはり何か「目標」「夢」は必要か?いつまでも戯れてはいられない?
- 作者: 岡崎京子
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2003/04/08
- メディア: コミック
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第5回目で紹介した『東京ガールズブラボー』とともに読んで欲しい。その、あえて戯れる生き方の危うさを問題化した一作。本作の直後、岡崎自身が事故に遭い、その後の作品は途絶えてしまった。しかし、その問いかけは今もなお続いている。
絶望・断念・福音・映画―「社会」から「世界」への架け橋(オン・ザ・ブリッジ) (ダ・ヴィンチブックス)
- 作者: 宮台真司
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2004/08
- メディア: 単行本
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“あえて”ではなく、誰もが“素で”「まったり」してしまった21世紀。これは永久に続く退屈の序章であり、我々はこの退屈に生きるしかないのか、それとも抜け出すべきなのか。「まったり革命」からの「転向宣言」の一冊。
<第7回>戦争について考えよう
〜「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」が相次いで公開。平和国家日本に生きる我々であっても、考えずにすむことはありえないテーマを考えよう!
- 作者: 中沢啓治
- 出版社/メーカー: 汐文社
- 発売日: 1993/04/01
- メディア: コミック
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戦争映画が数多く上映される今、読んでおきたい作品。小学生のときに読んで以来、記憶に焼きついて離れない人も多いはず。戦争体験の証言者が減り続ける中で、マンガだけは雄弁に語り続けてくれる。私たちもそれに耳を傾け続けなければならないだろう。
- 作者: 高橋三郎,新田光子,永谷健,金子雅彦,青木康容,中久郎
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 2004/02
- メディア: 単行本
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敗戦を境に、日本は直ちに平和国家となったわけではない。むしろ戦後社会の中で、「戦争」の影はいたるところに残された。男の子文化、自衛隊、そしてナショナル・アイデンティティ・・・。新たなる時代へのスタート地点だからこそ、振り返って読みたい一冊。
<第8回>戦後日本を考える
〜戦争の次は、戦後の日本社会を考えてみよう!
- 作者: 伴俊男,手塚プロダクション
- 出版社/メーカー: 金の星社
- 発売日: 2009/03/01
- メディア: 単行本
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戦前〜戦後の昭和文化史を知るための一冊。ある一つの人生を通して、マンガだけでなく、この社会全体の変化をわかりやすく理解することが出来る。私は机の傍らに置いて、眠気覚ましによく読む(徹夜続きであったという手塚のエピソードを私自身の糧として)。
- 作者: 北田暁大
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2005/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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戦後〜平成期の文化を考えるための一冊。1970年代以降、中身のないものへのウラ読みを楽しんできたはずの若者文化。それが今、なぜ素朴に右傾化し純愛にハマるのか。2ちゃんねるなどを題材に「反省」の変容史を描く。新進気鋭の社会学者の書き下ろし。
<第9回>SF再考
〜社会を少し引いた目から見るための訓練としてSFに注目する。
ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 1 (1) (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07/15
- メディア: 文庫
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『ドラえもん』で有名な作者の異色短編集。表題作「ミノタウルスの皿」では、宇宙船搭乗員が、ヒトがウシの家畜として飼われる星に不時着する。作者の言葉を借りれば、こうした「少し・ふしぎ(S・F)」な体験は、自分の世界観を見つめなおすきっかけにもなる。
- 作者: 木原善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2006/02/11
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当初、優れた科学を持った金髪の白人として描かれていた宇宙人は、やがて灰色をした邪悪な存在や、昆虫などへとそのイメージを変えていく。その変化から、現代の社会が「ふしぎなもの」を喪失し、さらに「現実感」すら希薄化させていく様子を描いた好著。
<第10回>男らしさ再考〜社会を引いた目から見ると、「あたり前」だと思っていたものの「あたり前さ」が崩れてくる。
そんな一つの事例として、昨今の「鉄子ブーム」から、女性と(鉄道)趣味の関連について考えてみたい。
- 作者: 菊池直恵,横見浩彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/11/30
- メディア: コミック
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テレビドラマの放映も始まり、今、鉄道ファンが注目を集めている。作中の「旅の案内人」こと横見氏は、国内鉄道全線全駅下車というタイトルホルダー。一般人や特に女性からすれば一見意味不明の、しかしその奥深い楽しみの世界をわかりやすく知るために。
- 作者: 酒井順子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/11/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「茶道や華道に勝るとも劣らぬ、深い魅力」を鉄道に感じる女性ファンも増加中という。『負け犬の遠吠え』で有名なエッセイストが、新幹線の「イケメン度チェック」などユニークな分析を展開する本書からは、いい意味で「男らしさの文化」の時代変容を感じる。
<第11回>多元的現実を考える〜「社会を引いた目から見る」、その見方が一つではなく、複数あるということを体得するために。
- 作者: 吉田秋生
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1999/08/01
- メディア: 文庫
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主人公の高校生男女カップルに加え、その男子に憧れる男子(にさらに憧れる男子)、その女子に憧れる女子(に憧れる女子)たちの青春群像。時間を共有していても、考えていることは異なる。異質な他者と繰り返し出会う現代に、現実の「多元さ」を知るための一作。
- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 知恵の森
- 発売日: 2003/06/06
- メディア: 文庫
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同名のテレビドキュメンタリー番組の製作過程を描いた一作。世に知られる「放送禁止歌」は数多いが、それらに明確な根拠などなく、ただマスメディアが「自主規制」しているだけだった。思考停止しがちなアタマに、世の中の当たり前さを疑うための好著。
<第12回>終わりなき日常を生きる
〜かつて思い描いていたより、何もなかった「未来」。しかしながら、そこに到達した我々は、それでも生きていかなければならない…。そのために必要な知恵とは何か?
- 作者: 浅野いにお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/12/05
- メディア: コミック
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何もない現代を、それでも懸命に生きる若者たちをさわやかに描いた一作。ラストシーンの切なさに、不覚にも涙してしまいました…。 アジアンカンフージェネレーション(特に名曲『ループ&ループ』!)を聞きながら読みたい一作。
デジタルメディア・トレーニング―情報化時代の社会学的思考法 (有斐閣選書)
- 作者: 富田英典,南田勝也,辻泉
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2007/05/09
- メディア: 単行本
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ケータイにネット・・・。私たちは、今まで思い描いてきた「未来」の中にいる。いわば、ドラえもんのヒミツ道具の多くを、手にしてしまったようなものだ。果たして次は、どうすればいいのだろうか。そんな「便利すぎる未来」を生き抜くための思考法を説く一冊。