(5) つまらない「世の中」を楽しく生きられるか?
ひきつづきブックガイドの5回目。今回と次回のテーマは、つまらない「世の中」を楽しく生きられるか。社会が「豊かか/貧しいか」ということと、我々が日々を「楽しい/つまらない」と感じるかということは、必ずしもきれいに対応しません。「豊か」だけれども「つまらなくて仕方ない」、若者たちにはそんな様子が見て取れます。そこで、1990年代以降顕在化してきたこの問題を考えるための文献を2つ紹介してみたいと思います。今回は、社会学者の宮台真司が「まったり系」と名づけたような、「大きな目標を持たずに、チョボチョボといきる幸せ。あえて虚構と戯れるような生き方」を考える文献です。
[rakuten:book:11135057:detail]
『東京ガールズブラボー』岡崎京子
「どうせそんなに面白くない世の中。だったら、意味の無い記号とあえて戯れることで、楽しそうに生きていくしかないじゃない。」今にして思えば、どこか悲壮で、でも痛快な、「80年代」の雰囲気をあますところなく伝える一作。
[rakuten:book:10690904:detail]
『終わりなき日常を生きろ!』宮台真司
「まったり生きろ!もはや人生に意味などない。瞬間の楽しさ(=強度)に生きるだけだ。」後に宮台は180°主張を転換させるが、1990年代という時代を知る上で最良の書。岡崎京子の主張とも通じるのであわせて読んで欲しい。